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「"血の違い"とは何なんだろうという疑問から」

スペインから遠い東のはずれの小さな島国の日本。その最果ての国で毎日スタジオにこもりコツコツと練習している日本人。
その姿を想うと胸が熱くなり、涙が出ます。
なかなか結果が出ないそのじれったさにも負けず、誰も見ていない所でひたすら練習(稽古)を繰り返す日々・・・。 そんな時思い出すのは、
私がフラメンコギターのプロになる為、渡西した際に出逢ったヒターノの少年。
彼も私と同様プロのフラメンコギターリストを目指していた。私はその頃、寝る間も惜しんで毎日8時間きっちり練習に励んでいたが
彼はサロンでTVを見ながらソファーに座り、なんとなくギターの練習をしていた。
こちらから見れば、あまり練習に身が入っていない様子。 師匠が「お前彼を見習え」と私を指差して言った。
私も「お前もっと練習しろ!」と冗談混じりで叱った記憶がある。

しかしそんな少年は1年後、唖然とするくらいの上達振り。不思議でしょうがなかった。
なぜ?「ヒターノの血の違いなのか????」
その通り。そうです、「血の違い」です。
でも諦めてはいけません。
スペイン人もヒターノも日本人も同じ人間ではないか!
この"血の違い"とは何なんだろう?という疑問から始まった事です。



「MRC1 EQUIPO HARADA」開発者
原田 和彦(はらだ かずひこ)



<プロフィール>

20歳でギターを始め、日本で三井敏郎氏、染谷ひろし氏、スペインでマリオ・コルテス、
ディエゴ・ロサーダ氏らに師事。

27歳で左手、32歳で右手を手根管症候群で手術する。それにより両手の機能感覚が通常の半分以下になる。その後数度の渡西を繰り返し、素晴らしいアーティストと同時に素晴らしい友人でもある、ディエゴ・ロサーダ、アドリアン・ガリア他多数の人々との出会いに恵まれ、励まされ、様々なチャンスを与えられギタリストとして育てられました。

そして、ギタリストとしてハンデを持ちながら上達することにひたすら格闘し続けてきました。その結果追求して生まれたのが「MRC1 EQUIPO HARADA」です。

 

 

■FC2ブログhttp://metoronomo.blog60.fc2.com/
(別ウィンドウで開きます)

商品化に至まで多くの事がありました。国籍問わず多くの人々の力をお借りして2011年4月いよいよ商品化に至る事ができました。その奮闘ぶりをブログにしましたので興味のある方はぜひお読みください。フラメンコのコンパスの奥底がわかります。

 

 

 

 

<開発の経緯>


■1はじめに

今まで言われてやって来た方法でやっても何でニュアンスが違うんだろう?
練習時間を取っても、自分の知っているスペイン人より自分を含め、日本人の方がたくさん稽古しているのに、何故こんなに上達に差が出るのだろう。

 

原点の発掘
フラメンコは民俗音楽であるから、その根本である民族のリズムを見出すことが、何か解決の糸口になるかと思い、リズムに着目しました。

 

■ 日本のフォルクローレのリズムの発見(探求)

ある時、日本民謡の津軽三味線奏者の方と仕事を通して知り合い、打ち上げで酒を飲みながら、日本のもみ手(宴会パルマ)の間の中味(リズム)って何ですか?と尋ねたところ、酔いも手伝っていい気分で「ハァ〜〜〜」と船を魯で漕ぐ真似をして日本民謡唄ってくれました。「!!」一緒に手拍子を打っていた私。何の違和感もなく彼の歌に のれ ( ●● ) ました。
独り言「フラメンコやっていて、一度もこんな事ないよなぁ〜」
その後彼曰く、「馬子唄ってあるでしょう。あれは馬に荷を積んでパッカ、パッカ手綱を引きながら歩かせている音のリズムで唄っていて、これも“間”の中味だよ」また、「馬を走らせられたのは、昔は殿様と水戸黄門のスケさんカクさんくらいだよ。一般庶民は違うよ」とも言っていました。

※ 日本は島国だから生活手段に船、山は馬。でも、
このことから、これと同様のことがフラメンコのリズムの中にあると思い、スペインバージョンを探しました。

 

 

■2スペインフォルクローレの探求

スペイン人の友人のフラメンコギタリストと唄い手が、馬を持っていると聞いたことがあり、「えっ!何で?」馬と緑のない生活をして来た私にとって、とても不思議な感じで、しかもその一人が「何頭もいて飼育している」と言うのです。更に腑に落ちない顔をしている私に「スペインの地方、郊外では普通だよ」と。私は「何でそんなに馬が好きなの?」と訊ねたら「スペインは馬の国だからだよ」…

 

昔からスペインは大陸で広いために、移動手段として馬を使い、その際、走らせたり(タッタカ、タッタカ、タッタカ A )小走り(タカタ、タカタ、タカタ B )と、その音を生活の中で常に聞いていたと思われます。特に流浪の民であったジプシー達が定住するまでその移動手段は馬であったことは想像出来ることです。

 

このことから、そう言えばフラメンコの唄の中に馬が登場するし、フィン・デ・フィエスタのブレリアで馬に乗っかっている振りもある。また、3拍子の原点はギャロップ、馬の歩様とも言われています。
これを表記すると

となります。

そして日本のフォルクローレの時と同じ考え方をすると、この音がフラメンコのパルマの“間”(リズム)の中味ということになり、またフラメンコのリズムの原点とも言えそうです。

 

 

■3クルシージョにて(中味)

以前、ペパ・マルティネスのクルシージョでヌメロを決める際、

Ca ( カルロス ) 「ベルディアレスやってもらえるかな?」

Pe ( ペパ ) 「う〜ん、すごくフォルクロール的(民族)だからね」

と、あまり気が進まない様子。結局その時は、ファンダンゴ・アバンドラオになりました。
そして、ベルディアレスがフォルクロール的という言葉が気になり、考えてみました。
そのリズムは“タリヤン タリヤン パンパン×2”このリズムは、ファンダンゴ・デ・ウエルバ、セビジャーナスのパリージョのリズムと同じということに気が付きました。
そして、セビジャーナスはフラメンコが生まれる以前からあったという一説を本で読んだことがあります。また、色々な意味があると思いますが、セビジャーナスはフラメンコの第一歩目という友人の言葉も思い出しました。
そして、ファンダンゴは民謡(このように理解しています)といわれており、これらのことから、このリズム(セビジャーナス、ファンダンゴ)を民族のリズムまたは、フラメンコの原点のリズムとして考えてみることにし

更に私自身のクラスで取り入れてみました。

 

 

■4“リズム”の性格 

“リズム”は、感覚の世界のものです。
踊り手とヌメロを作るために稽古をしている時の話。
踊り手がパソを作るとき、ギターがマルカールしている中、即興的にパソをやります。その時の会話。

G ( ギター ) 「今のパソもう一度やって。センティードどうなってる?」

B ( バイレ ) 「えっ!解らない。何も考えてなかったから」

このような会話がどれだけ繰り返されたか分かりません。後でゆっくりやって考えて、そのセンティードを思い出そうとしても出来ません。勿論ギターが即興的にファルセーターを作る場合もそうです。
この「何も考えていない」がヒントになりました。

 

●5何も考えていない=無意識=潜在意識

これは、ある哲学書に書かれていたことですが、自分自身が意識して物事を考えなくても、勝手に色々な事柄が頭に浮かんでくること。これは無意識の中での潜在意識の領域の作用である。逆に、例えば、自分がある目的地に行く時、その方法を意識的に考えること(バスに乗って、どこで乗り換えて地下鉄でなど)を実在意識の領域作用といいます。

このことから“リズム”は、無意識の中の潜在意識の領域の作用ではないかと思いました。

実際にギターを弾く時、踊る時、唄う時は、始めはリズムを考えていると思いますが、始まったら弾くこと、踊ること、唄うことに集中し、リズムのことは考えていないと思います。少なくとも自分がそうであることに気が付きました。
そして、日本の宴会パルマを打つ時、その“間”を取る時には何も考えていないはずです。

※この事は、多くの日本人に宴会パルマを叩かせ、その瞬間何を考えていたか聞いころ、「何も」でした。
このことから、リズムはプレイしている瞬間は無意識で、前に出てきた踊り手の「何も考えていない」と同様、無意識の中の潜在意識の領域の作用と思われます。

 

●実験

スペイン人に日本の宴会パルマ(もみ手)を叩かせたところ、3拍子になってしまい、アクセントなしでと注意し、もう一度やらせても、最初は意識しているためいいのですが、少しするとアクセントがついてしまい3拍子になってしまいました。

「今注意したこと、もう忘れてる。頭の問題!」どこかで聞いたセリフです。
「何故出来ないのか、こんな簡単なこと…?何故3拍子になって4拍子にならないのか?」
意識すると出来て、しなくなると3拍子になる。このことから、彼らの無意識の状態(潜在意識)の中にあるリズムは、3拍子ということが想像できる。

逆に日本人の場合「アクセントがない」「アクセントが足りない」「アクセントを付けると、全部音が強い」と言われます。これは、日本人の潜在意識の中にあるリズムは宴会パルマ(もみ手)=1拍子ということが想像できそうです。

 

●6潜在意識は、実在意識の習慣の事柄が蓄積される。

スペイン人化⇒スペインの原点となるリズム(セビジャーナス、ファンダンゴ)を入れる。

この事は「暗示」に似ているとは思いますが、例えば私など子供の頃から「お前はバカだ!頭が悪い!」と常に言われて育って来たために、大人になってもそう思って来ました。事実、当たっていることもあると思いますが(笑)

このような話は他の人からも聞いたことがあり、本当に大人になってもバカだと思っているようでした。
そんなことありません!!“最も優秀な霊長”人間です。同じ人間です。
これは「実在意識の習慣の事柄が潜在意識に蓄積される」の一例です。

 

● D 人間の能力の利用

もし、この考えが正しければ、必ず何か自分自身のリズム感覚に変化があるはず。見出した「スペインの原点のリズム」「人間の能力」を利用し、潜在意識の中に取り入れる作業を自分のクラスで始めました。

その後3ヶ月位過ぎた頃、以前よく聴いていたCDを久し振りに聴いたところ、今まで聴こえなかった“唄のアクセント”が聴こえ、しかもファンダンゴのアクセントが聴こえて来ました(唄はアレグリアス)

ちょうどその頃、ある雑誌のインタビューで、アルカンヘルがファンダンゴ・デ・ウエルバが唄えると、アレグリアス、ソレア、シギリージャも唄えるようになると言っていた記事を目にし、自分の考え、方向性に自信を持ちました。そして、その成果が生徒にも表れて来ました。

青年A君:マルティネーテを聴きながら、タンゴ、ブレリア、シギリージャはもちろんファンダンゴをパルマで叩いていました。効果アリです。

 

 

■7ワクを探す

確かにこのやり方(潜在意識にスペインのリズム原点を取り入れる)で、一定の効果はありましたが、何か物足りなさ“コンパスのアクセント”を感じました。メトロノームでティエンポ、3拍子、4拍子を出し、それと共にやっていたので、ティエンポの正確さはありました。しかし「何か足りない」と強く感じたのです。悩み探しました。

 

■8ベレン・マジャ

以前ベレン・マジャにタンゴのパルマを叩いてもらった時

この様に叩きました(因みに×はバセ{足})
そしてBのアクセントを強く、鋭く打っていて

Ca ( カルロス ) 「何でBを一番強く打つの?」

Be ( ベレン ) 「一番長い音だから」

Ca「長いから一番強く打つの?」

Be「そう」

 

この時は、あまり深く考えず「アクセントは長い音なんだ」程度に思っていましたが、音にはアクセントじゃない音。アクセントがあっても少し弱い音があることに気が付きました。タンゴのパルマでも@Bの違う強さを持っていて、Aはそれよりも弱い。

「強さ=長い、弱さ=短い」強弱を長短で表すことになります。

音の長さ? 馴染みがありませんが、音符には

とそれぞれの音の長さを表すものがあります。

このことから、タンゴのコンパスの4拍は、違う長さの音の集まりと言えそうでした。だとしたら、それぞれの音の長さのその基準は? 新たな疑問です。

 

 

 

■9音の長さの規則を求めて

スペインのフォルクローレを求めての項で、その原点のリズム

クラスでやっていて解ったことで
A C は馬が疾走している感じ
B はスピードを落とし、小走りのような感じを受けました。
C はパリージョ、ギターでよく使われるリズム。
A B は踊りでもよく出てくるリズムです。

例えば B の場合

このようなアクセントで使われる場合があり、例えばギターでは、ブレリアの締めるときのラスギャードの使い方。踊りでも

このパターンはアレグリアス、ソレア・ポル・ブレリアなどで、ジャマーダの後半によく
使われていますので、この基本の形をメトロノームで3拍子のアクセントを付け

D E のよう聞こえるように取り方を F から G に変えてみました。
> メトロノーム ティエンポのアクセント
> メトロノーム バセのアクセント
× 新たにティエンポとしたアクセント
× 新たにバセとしたアクセント
そして G の中にある>にパルマでアクセントを付け、×で足でアクセントを付けてやってみると、なんとブレリアのメディオが聞こえてくるではありませんか!そして発展させ、メディオが出来るならと、12・3・7・8・10を試したらバッチリで、更に速度を落としアレグリのパルマを叩いたところ、ピッタリ。また、長年疑問だったコンパスの機械的にいかない理由も具体的に解った気がしました。

「コンパスのルーツ発見」です。

 

 

■10・11いや!待て、待て

「コンパスのルーツ発見」といっても、自分が思っているだけです。これは、当然スペイン人に試さなければなりません。

ちょうどその頃、クルシージョでペパ・マルティネスが来日し、早速「ブレリア、アレグリ」を試しました。結果は最高でした。

 

Pe ( ペパ ) 「なんでメトロノームでブレリアが出来るの?」

Ca ( カルロス ) 「頭」

Pe ( ペパ ) 「よくやったね。信じられない!!」

まず、一人OKです。

次は、我が師匠、ジプシーのディエゴ・ロサーダです。メトロノーム(原点のリズム)を鳴らし、ブレリア、アレグリ、シギリージャのコンパスのアクセントをジャンベ(西アフリカの太鼓)で出し、録音し、スペインに送りました。結果は、最高でした。

Di ( ディエゴ ) 「メトロノームでフラメンコのコンパスが出来ること、しかも、アイレ、ソニケーテがあるなんて信じられない」

Ca ( カルロス ) 「へへへへっ!」

Di「お前、気が付いてるか?ブレリアが出来たならフラメンコの全てのパロも生み出せるぞ」

Ca「当然、分かってるよ」

 

補足ですが、自分の考え方では、ブレリアは全てのパロのコンパスの基本と思っていました。タンゴなど2拍子系と言われるものも含めてです。
ヒターノ(ジプシー)もOKでした。
実は、この時点で「我が師匠がOKなら、ほとんどの人に通用する」と確信してました。

 

次はアドリアン・ガリアです。
彼にはシギリージャ、タンゴを送ってみました。結果です。
アドリアンは、「タンゴ凄いね。でも、シギリージャはもっと凄いよ。カルロスとうとうやったね!」でした。
これまた最高の結果でした。 “フラメンコのコンパスのルーツ”これに確信を持ちました。

 

 

■12・13新たなるカベ

コンパスのルーツ発見とはいうものの、その実は、

で9つの音から6拍を生み出しただけで、余分な音が3つもあり、それを取り、表記にすると

こうなり、3連の中ヌキにしかなりません。実際やってみて、音の世界では、コンパスに聴こえるのですが、理論的にこれでは筋が通りません。要は9から6を生み出せば良いのですが、割り算をすれば1、5と言うことになります。しかし、コンパスはアクセントだらけ、アクセントの強弱=音の長さの長短(長さの違う音の集まり)ということを考えれば、6つ全ての音が均等、同じ長さということはありえず、6つの均等の長さなら、アクセントは存在しないことになります。これでは何の進展もなく、今までと何ら変わらない事実に止まることになり、このフラメンコの世界に絶対的なひとつの基準が確立しません。

諦めてはいません・・・・・るか(江戸弁です)」

「しょうがねぇや、師匠の力を借り

ってなことで、スペイン、師匠の許へ旅立つことにしました。

 

 

■14・15スペインにて長短を決める

●要はこのようになることです。しかも音の長さが均等でなく。
そこで、仮定としてブレリアのメディオの形態を1・3・5は短い音のグループ。2・4・6はメディオの時、足でコンパスのアクセントを付けるので、長い音のグループとしました。
また、音を3つずつ2つに分けた(長・短)のは、これも仮定ですが、フラメンコは全て3つの組み合わせで成り立っていると思っている自分自身の独断からです。

 

●音の長短を数の比率で表す

長短2種類に分けた音を、具体的な数字に置き換えることを思いつき、散々考えた挙句、長音 a という長さ、3の倍数の数からその音として仮に決め、そして、短音 b を a 音より数字にして1短く決め、PC上に a b をそれぞれの長さの間隔で6つ交互に並べてみました。

 

●実験

初の養殖ブレリアです。
音を出し、師匠にギターを弾いて試してもらいましたが

Di ( ディエゴ ) 「う〜ん悪くないけど何か違うね。自然な感じじゃないね」

Ca ( カルロス ) 「自分も聴いていて分る!自然じゃない」

2つの音の長さの差があり過ぎる感じがしました。思ったよりも a b の差が少ないのかとも考えました。

出した答えが a を倍にして、そこから数字の1短くした音が b としました。そして再びPCでプログラム。再生、師匠に弾いてもらいました。

Di「うん、今度は良いね」

Ca「自然な感じする?」

Di「うん!」

これで、この日は最大の問題であった音の長短を決めることが出来たので、私もホッと一段落。翌日に12の組み合わせを作ることにし、師匠と息子(ピノ)と3人で食事に行きました。滞在残りあと3日でした。(9日間の予定で、実はここまで6日間費やしてました。)

 

 

■16何か

食事から戻り、部屋でひとり今日のことを思い出していると、“何か”が気になりました。
“何か”とは、師匠のギターとプログラム再生した養殖ブレリアの音の ハモリ ( ●●● ) がいまいちな感じがしたのです。師匠は「良いね。自然」と言ったけど、スペイン人の“虚実” あまりにも一生懸命になっている私を不憫に思い、言ってくれた言葉なんでしょう。
「本当に優しい人だなぁ」なんて思いながら・・・
しかし、これは大変!問題です。あと残り3日。

 

●マドリの雪

翌日は時差ぼけもあって、朝5時頃目が覚め、外を見ると雪でした。スペインで初めての雪に嬉しくなり、散歩に出ました。問題はあれど気分爽快!!などと思いながら1時間程散歩し部屋に戻りました。
何が問題なのか?考えたところ「 a b 」の音の長さの比率は問題なさそうでした。 a b の組み合わせ方か、コンパスに対しての配置に改善の可能性を感じました。

 

 

■17コンパスは2声

Ca ( カルロス ) 「この × コンパスのアクセントどこまで伸びてるの?」
Di ( ディエゴ ) 「次の音が出るまで」
Ca「じゃぁ、こういうこと?」


Di「そうだよ」
Ca「じゃぁ、ブレリアはこういうこと?」


Di「そうだよ」
Ca「ってことは、パルマを叩く時、足で出すアクセントは、その音が伸びてベースを作り、
その上にパルマがのっかっているということ?」
Di「そうだよ」
Ca「じゃぁ、パルマを叩くということは、足でアクセントを足しているから2声(音楽的に)なんだね」

 

このことから、コンパスのベースのアクセントは独立していて、それぞれの長さを持ち
例えば12・3・6・8・10のアクセントの場合、パルマを1拍としたら

12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
○ ○ ○ ○ ○ 

 

整理すると 12・3 3拍
6・8・10 2拍

の長さを持っていることになり、パルマのアクセントと足のアクセントは別に考えることが出来ます。
辻褄が合いました。解決です。
1・3・5 a(長い音)
2・4・6 b(短い音) でOKです。

 

 

 

■18迷ったら原点

いつもしていることですが、“道に迷ったら原点”に戻り、考え直す。もう一度、コンパス原点を考えてみました。

これを見る限り1・3・5の音は長い音a 2・4・6は短い音bです。
そして、長い音a 短い音b2種類の音が交互に規則的に並んでいます。
問題はコンパスのアクセントの@図の×3・6
A図×2・4・6のパルマを叩く時の足で踏むアクセントです。

上記の長短音のコンパスに対しての当てはめ方だと、@図の3は長い音ですが、6とA図の2・4・6が短い音となります。
アクセントは長い音でなければなりません。ましてコンパス(ベース)のアクセントです。辻褄が合いません。
アクセントは強弱=音の長短。これが全ての考え方の基本です。

 

 

 

 

 

■ 20 解決

早速師匠のところへ行き、前日のプログラムとは逆の並びでプログラムし、まずブレリアのメディオを再生し、ギターを弾き試してもらいました。

最初は探りながら弾いている感じでしたが、その後すぐに自由に弾きだし、ギターの音とメトロノームの機械音とハーモニーを生み出していました。
そして、12拍パターンもこの法則に則り、プログラム、再生、試奏してもらったところ、速度が♪=150位だったので、アレグリとソレア・ポル・ブレリアを弾いていました。
結果は予想通り。
ブレリア同様、ギターとハーモニーが生まれ、師匠が自由に弾いていました。
そして、その時の師匠の言葉です。
「機械なのに、人間のパルマと同じ。これは、スペインのレコーディングスタジオのマニュアルになるよ」と イヤそう ( ●●●● ) な顔をしてました。スペイン人虚実の実です。ジプシーに認めさせました。
その後、タンゴ、タンギージョ、シギリージャなども全て同様の結果でした。
当然です。彼らのりずむ(もみ手)の根源を探り当て、そこから生み出されたプログラムですから。

 

 

■ 21 日本へ送信

その日のうちに全てのパロのプログラムを作り上げ、日本にデーターをメールで送信しました。これで自分に何かあっても、データーは残りますから、安心して飛行機に乗れます。
その日の夜は、めでたし!めでたし!ということで、我が師匠一家6人と共に食事へ行き、お勘定を見てビックリでした。

でも、家族全員が祝福してくれ、本当に嬉しく、ありがたく、協力してくれた師匠一家に感謝の念でいっぱいでした。

 

■ 帰り道

帰りの飛行機の中で段々と嬉しさが込み上げて来て「ここまで25年かぁ。。。早かったな」なんて思いながら、少しだけ自分を褒めてやりました。

 

 

■ 22 メトロノーム化

作り上げたデーターをメトロノームにするため、費用などを知りたく、国内のメトロノームメーカーに問合せ、動き出しましたが、何しろこちら素人、驚かされることばかりでした。
Aメーカーは、1個単価が2万円近く。
デザインは、大学の研究室にある実験用の機器のようで、昔のドカ弁(アルミ製の弁当箱のような)と言われた。
他のメーカーの見積もりは、1億円。

某有名メーカーは、電話で問合せたところ、具体的な内容を知りたがる、誘導尋問のよう。最後にアコーズという某有名メーカーのメトロノームを作っている会社に出会い、とんとん拍子に話が進みました。

 

■ 23 メトロ開発

さて、開発に取り掛かってからがまた、大変でした。
メーカーの開発者の人達と話して分かったことで、通常のメトロノームプログラムソフトを作るためのノウハウでは、製作出来ないことを要求しているようで。。。
例えば、通常は1分間に何回音を鳴らすか。その回数が表示速度となり、それぞれの音の A A 間隔は 60秒 =音の間隔(時間)このように時間で決め、しかも全ての音の幅は

音の回数

一定=同じ音の長さです。

これが常識ですし、世界の音楽界がメトロノームに持つ観念でありますから、彼らも当然同じ考え方を持っていて当然です。

しかし、こちらの要求は、音の幅は一定でなく(法則あり)割り算を使うな(従来通りの方法だと A の方式。割り算ですと必ず余りが出る。人間の感覚で分からない小数点以下で切捨てる方法)そうすると各音の長さが微妙に違う音が発生します。これでは、こちらが開発、具体的に数字で指定した音のプログラムが正確に再現出来ません。技術者も頭を抱えてしまいました。

 

 

■ 24 “物作り 日本を支える”優秀な技術者達

数ヶ月が経ち、デモ機が出来たとの連絡に工場へ。聴かせてもらい、大丈夫そうなのでその音源(プログラム)をスペインの師匠に送り、試してもらったところ「Muy bien!」で合格です。また、アドリアンにも送ったところ、シギリージャでしたが「何で機械なのに人間のSentimientoがあるの」と絶賛でした。
これでOKです。量産です!と技術者の彼らに伝えたところ「バンザ〜イ!やったぁ!」と涙ぐんで喜んでいました。「全く今までの発想をを変えた」と言っていました。
素晴らしい技術者達に本当に感謝です。この人達がもの作りの国、日本を支えているのですね。彼らを尊敬しまし、また、熱意を持って絶対に諦めないことの大切さを学びました。
ありがとう。

 

 

■25 特許だ

このフラメンコメトロノームMRC-1 EQUIPO HARADAのプログラムは、特許出願中です。
スペインから帰国した頃に、このプログラムに対し、試しに無料相談(特許)に行ってみたところ、あまり相手にされませんでした。
その後、製作依頼した時の内容を詳しく説明したところ、メーカーの特許担当の方が「これ、特許申請しますか?」と。以前、特許無料相談した時のことを伝えると「いや、これは立派な発明です。断言出来ませんが、取得出来る確立はかなり高いです」と言われました。自分は特許などという世界とは一切無縁なところで生きてきましたので、正直驚きました。
そして後日、特許事務所に行ったところ、やはり「特許の権利の取得の可能性は、かなり高いです」と言われ、親父が健在ですし(辛うじて)、冥土の土産、一生に一度くらい親孝行でもするかと、特許申請しました。


 

あとがき

 

自分はこのメトロノームを作っていく段階で色々なことを学びました。
メトロノームを作ることで、自分自身が作られ、教えられたのだという実感がとてもあります。どうぞこのMRC-1 EQUIPO HARADAが世界中のフラメンコを学ぶ方たちに役に立ちますように。

原田 和彦(Harada Kzuhiko)

 

 

 
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